免許不要なLPWAN機器の技術要件と運用条件 - ベトナム -
- Fumito Morishima
- 3月3日
- 読了時間: 2分
更新日:4月18日
LPWAN(Low-Power Wide Area Network)は、IoT(モノのインターネット)向けの低消費電力・長距離通信技術であり、スマートシティ、産業監視、農業、物流など多様な用途で利用されています。LoRa、Sigfox、NB-IoTなどの技術が代表的であり、センサー機器やデータ収集システムに広く採用されています。
ベトナムでは、「Circular No. 08/2021/TT-BTTTT」に基づき、ライセンス不要で使用できるLPWAN機器の技術基準および運用条件が定められています。
本記事では、ベトナムにおけるLPWAN機器の使用可能な周波数帯、最大送信出力、スプリアス発射制限、および追加の運用条件について解説します。
適用周波数帯と技術要件
以下の表は、ベトナムで使用可能なLPWANの周波数帯と対応する技術要件です。
周波数帯 | 最大送信出力(ERP) | スプリアス発射制限 | その他の条件 |
---|---|---|---|
433.05 - 434.79 MHz | ≤ 25 mW ERP | QCVN 47:2015/BTTTT | 通信・情報セキュリティ・データ保護法を遵守 |
920 - 923 MHz | ≤ 25 mW ERP | QCVN 122:2020/BTTTT | 通信・情報セキュリティ・データ保護法を遵守 |
特別な運用条件
Duty Cycle(デューティサイクル)制限
LPWAN機器の運用にはDuty Cycle(送信時間の割合)制限が適用されます。これは、周波数帯の利用効率を向上させ、他の無線通信との干渉を防ぐことが目的です。
ゲートウェイ機器(データ中継装置):Duty Cycle 10%以下
端末機器(センサー、IoTデバイスなど):Duty Cycle 1%以下
これにより、LPWAN機器が長時間連続で送信することを制限し、周波数の占有を回避します。
920 - 923 MHz帯でのモバイル基地局との共存
920 - 923 MHz帯のLPWAN機器は、モバイル基地局(880 - 915 MHz帯)と同じ場所に設置される場合、追加のスプリアス発射制限が適用されます。
スプリアス発射制限:-98 dBm/100 kHz以下
ただし、関係機関と協議の上、-98 dBm/100 kHzから-36 dBm/100 kHzの範囲で調整が可能です。これは、LPWAN機器が携帯電話基地局の干渉を引き起こさないようにするための規制です。
型式認証(TA)または適合宣言(DoC)の要否
ライセンス不要のLPWAN機器であっても、ベトナム市場で販売・使用するためには、ベトナム情報通信省(MIC)の技術要件(QCVN)に適合することを証明する認証が必要となります。周波数別の必要な認証は以下の通りです。
周波数帯 | 必要な認証 | HSコード | 技術要件 |
---|---|---|---|
433.05 - 434.79 MHz | 型式認証および適合宣言 | 8517.61.00 8517.62.43 8517.62.59 8517.62.69 8517.62.99 8517.69.00 9015.10.90 9025.19.19 9025.80.00 9027.89.90 8531.10.30 8531.90.90 | QCVN 47:2015/BTTTT QCVN 18:2022/BTTTT |
920 - 923 MHz | 型式認証および適合宣言 | 8517.61.00 8517.62.43 8517.62.59 8517.62.69 8517.62.99 8517.69.00 9015.10.90 9025.19.19 9025.80.00 9027.89.90 8531.10.30 8531.90.90 | QCVN 122:2020/BTTTT QCVN 18:2022/BTTTT |
※ Circular No. 08/2021/TT-BTTTTの原文
関連 : ベトナムの電波法とICT無線認証の取得